ゼロから始めて本物の舞台に立てる! 高校生ミュージカルを直撃
東京・浅草にある劇場「浅草六区 ゆめまち劇場」。
8月1日からこの劇場で、劇団ゆめまち劇場「ハイスクールキャンパス」が旗揚げ公演をスタートさせた。なんとこの劇団、20人の出演者全員が現役高校生なのだ。
演劇や舞台、音楽に興味のある子なら、「いつか本物のステージに立ってみたい!」と思ってるんじゃない? 出演者は、一体どのようにして舞台に立つことになったのだろう? 話を聞くべく、さっそくステージを観に行ってみることに!
■エネルギーあふれる高校生たちの圧巻のステージ!
物語の舞台は、すでに取り壊しが決定している、浅草のさびれた劇場。かつては多くの観客でにぎわい、町の人々に愛されていたこの劇場の取り壊しを阻止するため、地元の3つの高校生グループが集まり奮闘するというストーリー。
観ていてなにより驚かされたのは、高校生たちの歌唱力! アップテンポな曲、ギターの弾き語り、切ないバラードとあらゆる楽曲をキレイなハーモニーで歌い切る。さらに、体を思い切り動かす激しいダンスは高校生ならではのエネルギッシュさにあふれていた。
ダンス、歌、演技、すべてが全力のステージ。このミュージカルを絶賛する声が多いのも納得だ。
■浅草の町おこしから企画がスタート!
でも、そもそもなぜ高校生だけのミュージカル劇団が生まれたのだろう?
制作を担当している飯田一真さんに聞いた。
「この劇団は、浅草にある『六区』という地域の町おこしを目的としたプロジェクトの一環としてスタートしました。浅草六区は、昔からたくさんの劇場があり“演劇の街”としてにぎわっていたのですが、最近は活気がなくなりつつあって…。『もう一度、演劇で街を盛り上げよう』という思いのもと、企画を立ち上げたんです。
そこで、“若い力”として注目したのが高校生でした。まだ幼さがある中学生でもなく、将来を決め始めている大学生でもなく、高校生は『これから新しいことに挑戦しよう』という力が一番大きいんですよね。そんな高校生を集めてミュージカルをやれば、町を元気にできるんじゃないかと思ったんです」
そこで、昨年の12月から劇団員を募集するオーディションをスタート。
140名もの応募者の中から選ばれたのが、女子18名、男子2名、計20名の高校生たちだ。そのうちの半数以上は、ダンスや演技の経験がほぼないコたちだったとか!
彼らがミュージカルに参加しようと思ったきっかけは何だったのだろう。
「私は、中3の時に観た映画がきっかけで演技に興味をもちました。歌も演技も未経験だったんですけど、『実力じゃなくて熱意がある人を募集』という文字を見て『挑戦してみたい』と思ったんです」(高1・菊地姫さん)
そこからわずか4カ月でプロ顔負けのクオリティに辿り着いたというから驚きだ。一体どんな練習を…?
「ぼくはそれまでダンスをやったことがなくて、最初は全然体がついていかなかったんです。だから、うまいコのダンスを動画で撮らせてもらって、それを見ながら家で必死に練習しました」(高2・辻村州くん)
ほとんどのメンバーが毎日家で自主練をして、苦手な部分を克服したという。学校の勉強もあるなかで、そこまで頑張れた理由は何だったのだろう?
「みんなが『ステージに立ちたい』『歌を歌いたい』という同じ想いをもって集まっているから、実力の差は関係なく本気で頑張れました。
前のほうのポジションに立てなくて『悔しい!』って感情を出しても、引く人なんかいなくて、『そうだよね、頑張ろう!』って言ってくれる。こんな場所って今までなかったから、すごくうれしかったです」(高2・幸野紫花さん)
「このミュージカルに参加して、『チームっていいな』って思うようになりました。こんなに志の高いメンバーの中に自分がいられることが幸せです」(高3・緒方友亮くん)
あのエネルギッシュなステージは、同年代との仲間との絆が作り出したものなのかもしれない。
今公演中のミュージカルは8月28日で千秋楽を迎えるが、これからも劇団としての活動は続いていくとのこと。また、今後劇団員を募集していく予定もあるそう!
気になる人は、ぜひ観に行って応募してみては?
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