実は高校生にもある五月病。その傾向と対策とは?

ゴールデンウィーク明けのこの時期になると話題になるのが五月病。一般的には、新しい環境に飛び込んで張り切っていた企業の新入社員や大学の新入生が、連休でプツンと糸が切れてしまい、反動で虚脱状態になってしまう症状のこと。では、高校生には五月病はないのだろうか?

 

スクールカウンセラーなども務める臨床心理士の岡崎光洋さん(くまもと心理カウンセリングセンター)に話を聞いたところ、この季節、高校生に五月病に近い症状が表れることはよくあるという。警戒されるのは、例えば以下のようなケース。

 

<もしかして五月病!?チェックリスト>
□ 新しいクラスに不満・違和感がある
□ 気軽に話せる友達がまだクラスにいない
□ 休み時間やお昼の時間は一人でいることが多い
□ 保健室に行く回数が増えた
□ 以前と比べて、朝、起きるのがつらい
□ “学校に通う意味”を最近よく考える
□ 学校へ行こうとすると、頭やお腹が痛くなる

 

もちろん、どれかに該当したからといって即五月病確定というわけではないが、複数の項目が該当する、または、いずれかの項目が一時的なものではなく長引いているときは要注意。そのまま元気が出ない状況が続き、不登校などにつながってしまうこともある。

 

「高校生の五月病は、クラス替えなどの変化に対する戸惑いがきっかけになるケースが目立ちます。だから2年生でも3年生でも起こりえるんです。特に4月の家庭訪問のあとに、5月は体育祭を行う高校もあり、春はイベントが集中しています。そんな慌ただしい時期が過ぎて疲れを感じたときに表面化することが多いですね」(岡崎さん〈以下同〉)

 

では、「私、五月病…?」と感じたときにはどのように対処するのがいいのだろうか?

 

「一人で考え込まず、誰かに気軽に話してみることですね。前のクラスの友達でもいいので、『今のクラスがつまんなくてさ』『最近、朝起きられないんだよね』と話して、『そうなんだ』『わかるわかる』と同意してもらうだけでも気持ちの負担は軽減されます」

 

もちろん、高校にスクールカウンセラーがいれば頼りにするのもあり。その場合も「カウンセリングを受ける」「相談をしに行く」と大げさに考えるのではなく、「試しに話してみる」くらいのスタンスでOKだという。

 

高校生の五月病は、いわゆる「うつ」とは違い、心の柔軟性や困難に耐える力が弱まっているせいで起きていることが多い。心が成長段階にあるのだからうまくいかないこともあって当然。自分が感じた戸惑いをそんなふうにとらえて、トレーニングのつもりで堪えて、さらに一歩を踏み出すと、五月病を成長のきっかけにすることもできるのだ。