映画やアニメも続々公開!? 幕張総合高校「将棋部」の強さに迫る!
将棋を題材とした人気漫画『3月のライオン』が、アニメ化&実写映画化することに。
これをきっかけに、ジワジワと将棋ブームがきそうな予感…!
そんな将棋に力を注いでいるのが、千葉県にある幕張総合高校の将棋部だ。
この部は、県大会で女子が17年連続、男子は7年連続で優勝経験がある強豪校。
彼らの強さの秘密を探るべく、部活動の様子を見に行ってみることに!
将棋は「王将を取れば勝ち!」というシンプルなゲーム
そもそも将棋ってどんなルールなんだろう?
2年生で部長の糸久一樹くんに聞いた。
「将棋は、相手が持っている『王将』という一番強い駒を先に取った方が勝ちというゲームです。
将棋の駒は、王将以外にも『歩』や『角』など全部で8種類あるのですが、それぞれ『前に1マスしか動かせない』『斜めにしか動かせない』など、ルールが決まっているんですよ。
それを上手に動かしながら、相手の王将までたどり着かなければいけないので頭を使いますね」
か、かなり難しそう…。
「しかも、やっと王将の近くまできても、相手の駒に邪魔されたり、自分の王将が取られそうになって守らなければいけなかったりと、思い通りにはいかなくて…。
常に『自分の駒をここに置いたら相手はどう反撃してくるか』『そのあと、自分はどこに駒を動かすべきか』と先を読みながら打つ手を決めています」(糸久くん)
自分の駒と相手の駒の動きを想像しながら、ジワジワと王将を追いつめていくのが将棋なんだ。
かなりハイレベルな頭脳戦だけど…、やっぱりみんな経験者なの?
「私は、顧問の先生に勧められて将棋部に入ったので、高校までは未経験でした。最初は駒の動きが覚えられなくて苦労しましたね。
ルールだけじゃなくて、『まずは王将をここに移動させておく』など、決まった戦術がたくさんあるので、それを覚えるのも大変でした」(2年生・加藤秋沙さん)
「僕は、おじいちゃんが将棋好きだったのでルールは知っていたのですが、本格的にやり始めたのは高校生になってからです。
『いつかおじいちゃんに勝ちたい!』と思って入部したのですが、やればやるほど奥が深い世界だとわかって…。おじいちゃんのすごさを改めて実感しました」(糸久くん)
強さの秘密は小学生と部員同士の仲の良さ…!?
18名の部員中、「本格的に将棋を始めたのは入部してから」という人がほとんど。そんな彼らが、強豪校になれたのはなぜなんだろう?
「いろんな相手と対戦しているからだと思います。
将棋は、人によってクセがあるので、部員同士だと相手の次の手が読めちゃうんですよ。
だから、近くの小学校に行って小学生と対局したり、近所のおじいちゃんと練習したりして経験を積んでいます」(糸久くん)
特に小学生は、自由な発想で思いがけない一手を打ってくることがあるので、ハッとすることが多いんだとか。
また、「部員同士で気軽にアドバイスができるのも強さにつながっている」とは、3年生の大滝莉央くん。
「将棋は、対局が終わった後に『どの一手が原因で負けたのか』とか『もっといい攻め方があったんじゃないか』ということを振り返る“感想戦"というのをやるんです。
この時、先輩が相手だと本音を言えなかったり、同級生同士でも実力に差があるとアドバイスをしづらかったりしますよね。
でも、それだとお互いのためにならないので、うちの部では日頃から、先輩が後輩に気軽に声をかけたり、将棋を使った簡単なゲームで盛り上がったりして、部員同士の仲を深めています」(大滝くん)
確かに、将棋部と聞くとシーンとしたなかで黙々と個人練習をしているイメージだったけど、幕張総合高校の将棋部は、「この戦術、やったことある?」「ここからどうしたらいいと思う?」といった声が、教室のいたるところから聞こえてくる。
大会前は、映像や音を完全にシャットアウト!
ほかにも、「勝つためには集中力も大切なんです」と加藤さん。
「対局中は、頭のなかに将棋盤をイメージして、駒を動かしながら先を読んでいるんです。だから、途中で集中力が途切れてしまうと、頭の中の将棋盤が消えて駒の動きがわからなくなってしまうんです。
そうならないために、私は試合の3日前から、テレビや音楽を遮断して、頭の中に将棋以外の情報が入らないようにして集中力を高めています」(加藤さん)
そんなことまでしているなんてすごい…。
幕張総合高校が勝ち続けられるのは、部員同士の協力と個人の努力があるからこそなんだ!
やればやるほどハマってしまう! 奥深さが将棋の魅力
対局中は、頭をフル回転しているので、終わった後はグッタリしてしまうという。そんなハードな将棋に夢中になれるのはなぜなんだろう?
将棋の魅力って?
「将棋って性格が出るんですよ。
『ギリギリまで攻めるタイプ』とか『守りを固める堅実なタイプ』とか。
だから、対局すると相手がどんな人かわかるんです。
言葉を交わさなくてもコミュニケーションが取れるのは、将棋ならではの魅力だと思います!」(糸久くん)
「将棋は、どんなに不利な状況からでも、一手で立場が逆転するんですよ!
逆に、『ここぞ』という瞬間を逃すと負けてしまうこともあるので、最後の最後まで勝敗がわからないのがおもしろいんですよね。
それに、負けたとしても『そんな手があったんだ。僕も今度試してみたい!』っていう新しい発見が必ずあるので、ずっと続けたいと思えるんです」(大滝くん)
将棋を通じて「最後まであきらめないことの大切さを学んだ」という糸久くん。
これは、テストでも役立っているとか。
「今までは、わからない問題があるとすぐにあきらめていたのですが、将棋を始めてからは時間ギリギリまで考るようになりました。
あと、『次の一手は本当にここでいいのか』と先読みして考えるクセがついたので、テストでもパッと浮かんだ答えを書くんじゃなくて『本当にこれでいいのかな』と、改めて考えるようになりましたね」(糸久くん)
奥が深~い将棋の世界。
一見、難しそうだけど、やり始めると案外ハマっちゃうかも!?