地元ラブ! 高校生カフェが日本を救う!?

高校生のなかには、カフェのプロデュースやお手伝いをやってみたいという人もいるのでは?今、地方に、高校生が企画や運営、メニュー開発、接客などをするカフェが登場し始めている。

 

青森の中心商店街に出現したのは「高校生カフェABC」。

 

高校生による街づくり団体「あおもり学生プロジェクト クリエイト」が経営し、毎週土日・祝日だけオープンする。

 

メニューは地元産の食材を使った、ごぼう茶やりんごジュース、米粉ケーキなど。人気の「運動部コーヒーゼリー」や「文化部コーヒーゼリー」には、好みによって甘い「帰宅部シロップ」をかけてもらうこともできる。地元のコーヒー小売店からしっかり技術を学んでいれているブレンドコーヒーとアイスコーヒーもおいしい。

 

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経営を行っている団体「クリエイト」は、現在東京の慶應義塾大学3年生の久保田圭祐さんが、青森南高校1年生の時に立ち上げた団体。東北新幹線全線開通を前に、もっと元気のある街にしたいと思ったのが発端だった。

 

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仲間を集めてサークルのように活動を始め、観光客向けの情報誌を作ったり、東北新幹線全線開業前夜祭をしかけたりしてきた。そして慶應義塾大学で街づくりについて学びながら、今は1年休学して地元の青森に戻り、後輩の高校生たち約20人と一緒にカフェの運営に乗り出したのだ。

 

なぜ、高校生? 久保田さんに聞くと、

 

「街を活性化させるためには、地域への愛着や関心をもってもらうことが必要。高校時代ってすごく多感な時期だから、地域で活動して地域の人と接することで、地元への愛着や関心がぐっと深まると思うんです」とのこと。

 

カフェのメニュー開発や接客マナー、ペンキ塗りや内装、店先の掃除の仕方まで、全部地元の商店街の大人たちに高校生がレクチャーを受けてやっている。経営部門も専門家に助言を受けながら高校生が担う。そして、お客さんには地元のおじいちゃん、おばあちゃんたちも多い。カフェのオープンでいろいろな世代の人が交流できる場所ができた。

 

スタッフのひとり、小泉佑奈さん(高3)は「コーヒーを入れたり接客をしたりも楽しいけれど、他の高校の人たちや年齢が違う人たちと一緒に企画を考えたりしているときが充実している」とのこと。

 

小泉さんは、これまで、地元の静かな商店街や若者の少なさをどうしたらいいのかと考え、将来は公務員になって街づくりに貢献するという進路を希望していたそうだ。今、高校生カフェの手伝いに携わるなかで、「公務員だけでなく、街づくりにかかわるにはもっと違うアプローチ法もあるのかも…」と思い始めたという。

 

高校生カフェとしては、昨年11月にオープンした岩手県石巻のカフェ「 」(かぎかっこ)が先輩に当たる。こちらのスペースは市役所内。やはり、高校生たちが、地元を元気にしたいと、お店の名前からメニューすべて自分たちで考え作り上げている。新たな観光名所として盛り上がりを見せ、テレビなどで紹介されることも。

 

「まだまだ数は少ないけれど全国に広まってほしい!」と久保田さん。「今、地方の過疎化の解決策がありません。でも、高校生カフェには可能性がある。ぼくは本気で『高校生カフェが日本を救う!』と思っているんです」