就活時期が後ろ倒しに。今の高校生にどう影響?
この春、大学生の就職活動の時期が後ろ倒しになることが話題になった。
来年度(今の大学2年生が就活を始める年)から、企業が会社説明会などの採用広報活動をスタートさせる時期を大学3年の3月とし、面接など選考活動のスタートを大学4年の8月とするというのが政府の提案する内容だ。
今の大学3年生までは、採用広報活動開始が3年の12月、選考開始が4年の4月なので、これが実行されれば、動き出しを3カ月、選考を4カ月遅らせることになる。
最近は就職活動が長期化するケースも増えているため、スタート時期を遅らせることで、学業に専念できる期間を増やし、長期留学する学生にも就職活動機会を与えるというのが改定のねらいだ。
では、今の高校生も、いずれこの新しいスケジュールで就職活動をすることになるのかというと、そこはなんとも言えないところ。実は採用活動のスケジュールはこれまでも何度か変わっている。2年前までは大学3年12月スタートで、それ以前は大学3年10月スタートが定着していた。つまり、また変わる可能性も十分にあるのだ。
この点について就職情報サイト『リクナビ』の岡崎仁美編集長は次のように解説する。
「今の高校生が大学に進学後、就職活動をするのは数年先の話。それまでには、活動スケジュールだけでなく就職活動のシステムそのものが変わっている可能性もあります。例えば、海外の会社に就職する道がぐっと広がっているかもしれませんし、中途と新卒の垣根をなくして、春の一括ではなく通年で採用する企業が増えているかもしれません。それらも含めて、表面的な変化にあまり振り回されないほうがいいですね」
本当に大事なのは、採用活動のスケジュールではなく、社会で必要とされる人材へと自分を高めること。そのためには、高校時代や大学時代の過ごし方がポイントになると岡崎編集長は言う。
「自分で何かを計画し(Plan)、それを実行し(Do)、やったことを振り返り(Check)、反省点を踏まえて次の計画を改善していく(Act)という経験を重ねることが大切ですね。このPDCAサイクルは『自律のサイクル』とも呼ばれています。答えのない、変化の激しい時代において、こうした『自律力』は多くの企業に求められているのです」
取り組む対象は身近なものでOK。何かに夢中になって取り組み、その中でPDCAサイクルを回す訓練を重ねることで、自律的なものの見方・考え方ができるようになり、結果として就業力も高くなる。就職活動時期の変更を気にするよりは、自分を高めることを考えて毎日を過ごすことが実は一番の就職対策というわけだ。そして、それなら高校生が今から始めることだって十分可能だ。