大学の選び方完全ガイド!迷ったらやるべき行動から大学選びのNG行動まで
たくさんの大学に、さまざまな学部・学科があるなかで、自分の行きたい大学や学部・学科をどうやって探せばいいのだろう、と大学の選び方に迷っている人はいない?そこで、大学の選び方がまったくわからないという人のために、リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長の小林浩さんに、大学選びの基本的な考え方と具体的な大学の選び方を教えてもらった。
さらに、実際に大学へ通っている先輩たちのリアルな声を紹介しながら、行きたい大学&学部・学科の選び方のポイントについてアドバイスをしてもらった。
【今回教えてくれたのは…】
リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長
1964年生まれ 株式会社リクルート入社後、グループ統括業務を担当、『ケイコとマナブ』企画業務を経て、大学・専門学校の学生募集広報などを担当。
経済同友会に出向し、教育政策提言の策定にかかわる。
その後、経営企画室、会長秘書、特別顧問政策秘書などを経て2007年より現職。
目次
- 大学選びに迷ったらやるべき8つのこと
- 1)自分の興味関心があることを整理してみる
- 2)職業に限らず未来の自分の姿を想像してみる
- 3)現時点の将来の生き方を職業まで落とし込んでみる
- 4)他人から見た自分や自分とは違った世界にも触れてみる
- 5)将来の夢がなくても問題ないという考え方をしてみる
- 6)幅広く学びたいか、専門的に究めたいか、学び方をイメージしてみる
- 7)夢は変わることもあると前向きに考えてみる
- 8)進学にかかる費用について調べて相談してみる
- 大学選びの際に確認するべき8つのチェックポイント
- 1)学びたいことが学べる学部はあるか?
- 2)取りたい資格が目指せるか?
- 3)就職サポート体制や先輩の就職実績があるか?
- 4)自分の思い描いている学生生活ができそうか?
- 5)どんな入試形式があるか?自分に合うか?
- 6)オープンキャンパスで見聞きした内容はどうか?
- 7)希望の学生生活と大学の立地が合っているか?
- 8)大学4年間で合計どれくらいのお金がかかるか?
- これだけはNG!大学選びでしてはダメな5つのこと
- 1)先生や保護者の意見だけで決める
- 2)友達が受験するから自分も一緒に受ける
- 3)偏差値だけで行けそうなところを探す
- 4)インターネットやSNSの口コミを信じ込む
- 5)世間の評判やイメージだけで判断する
- 先輩たちは何を重視して大学選びをした?
- こんなはずじゃなかった!を防ぐ大学選びの注意点
大学選びに迷ったらやるべき8つのこと
将来どんな職業に就きたいかなど職業や職種だけで選ぼうとしていない?
もちろんそれもありだけど、高校生が知っている職業の種類は限られているので、情報が足りない。
それに引き換え、大学の学部は全国に700以上もある。
その中でどうやって自分に合った学部・学科を選べばいいのかまったくわからないという人も多いはず。
そういう人は、具体的な大学選びをする前に準備が必要。
そこで、大学選びの基本的な考え方と、最初にやっておきたいことを小林さんに教えてもらった。
1)自分の興味関心があることを整理してみる

そういう人は、収入や安定性などキャリアを中心に考えてしまって、本当に自分がやりたいことではないところから進路選びが始まっているような気がします。
まずは、『自分の興味関心を整理する』ことからスタートしましょう。
スポーツが好き、音楽が好き、人と一緒に何かをするのが好き、ひとりで黙々と作業をするのが好き、パソコンに向かっているのが好きなど、そういうレベルで大丈夫。
ノートに書き出してみてもいいし、スマホのメモ書きでもいいと思います。
自分が興味あること、関心のあることを、まずは整理してみてください」。(小林さん)
2)職業に限らず未来の自分の姿を想像してみる
例えば、
・仕事中心の生活で、将来は海外で活躍したい
・入社した会社で経験を積んで、独立開業したい
・資格を取得して、結婚出産後も長く働きたい
・自分の趣味や生活を重視して、オフタイムを充実させたい
などなど、それぞれ仕事に対する考え方、自分の将来の志向があると思います。
自分は将来どうなっていたいのかをイメージして、そうなるために大学で何を学べばいいのか、しっかりと考えてみてください」。(小林さん)
3)現時点の将来の生き方を職業まで落とし込んでみる
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自分はどんなことに興味関心があって、どんなふうに生きていきたいか、を考えてみると、将来の職業が見えてくることもあります。
例えば、外国に興味があって海外で仕事をしたいという理由で商社に就職したり、料理が得意で結婚出産後も働き続けたいという理由で管理栄養士の資格を取ったり、地元が大好きで実家から通いたいなら地元にどんな企業があるのか調べたり。
興味関心や将来の生き方が、職業まで落とし込めそうか、考えてみるといいですね」。(小林さん)
4)他人から見た自分や自分とは違った世界にも触れてみる
友達と『あなたはこういうことが得意だよね』などと言い合ってみることが、最初の時点では重要だと思います。
友達に聞くのは恥ずかしいかもしれないけれど、自分で思っている自分と、人から見た自分が違っていることもあり、友達から言われて、『あれ?自分の思っていた興味関心って、本当は違うところにあるのかも?』と気づくこともあります。
いきなり学部とか職業とかいってもわからないと思うので、まずは自分の興味関心を友達同士で開示し合って、広げてみることが大事。
ダメなところを言うのではなく、お互いの良いところをポジティブに話し合ってみましょう。
『これ好きだよね?』『すごく本を読んでいるよね、どんな本を読んでるの?』『子どもの相手をするのが上手だね』など、身近なところから会話のきっかけにして、いろいろな興味関心のなかから、客観的な意見を聞いて、自分の興味関心や特長を考えてみるといいですね。
自分だけで考えると、視野が狭く、思い込みの世界になってしまうので、1回だけじゃなく、テニスの壁打ちのように何回か打ってみると、そのたびに答えが返ってきて、自分の考え方を人に説明することによっても考え方がまとまっていくと思います。
さらに、先輩に『どのように考えて、その学部、その職業を選んだのか』を聞いてみましょう。
例えば、文系志望なら理系の会社に就職した先輩など、自分が考えている進路とは全然違う道に進んだ先輩の話でもいいのです。
想像力だけではわからないことがたくさんあるから、新しい発見があるかもしれませんよ」。(小林さん)
5)将来の夢がなくても問題ないという考え方をしてみる
人生には『山登り型』と『いかだ下り型』があります。
『山登り型』は、弁護士になりたい、プロ野球選手になりたい、といった一つのやりたいことを目指して、そのためにどうすればいいかを考えながら、山を登っていく生き方。
『いかだ下り型』は、いろいろなところへ行き、その時々で今あることを一生懸命にやっていくことで、出会いや気づきがあって成長し、最後にやりたいことをみつけていくという生き方です。
将来の夢があれば『山登り型』で頑張ればいいし、夢がなくても『いかだ下り型』で将来やりたいことをみつけていけばいいのです。
ただし、人生という川をただ流されていくのではなく、その時その時に、今どうなんだろう、この道を進んでいいのか、その時点で経験したことをもとに、しっかりと考えていくことが重要。
おもしろいと思ったことをやってみたら、自分の地図になかった道をみつけた、この職業にたどり着いた、ということもありますよ」。(小林さん)
6)幅広く学びたいか、専門的に究めたいか、学び方をイメージしてみる

大学の学部によっては、教養を身につけることが中心の学び方で、職種をしぼらず、幅広い業界に就職することができる学部があります。
また、1~2年次は教養を学び、3年次以降に専攻を決める大学も。
その一方で、1年次から専門課程を学んでいく学部もあります。
将来やりたいことが決まっていたら、その専門にしぼった学びができる学部を選べばいいし、幅広く学べる教養系の学部に入ってから将来やりたいことをじっくり探してもいいのです。
どちらの学び方をしたいのかを考えると、ある程度の学部にしぼることができると思います」。(小林さん)
7)夢は変わることもあると前向きに考えてみる
それはいいことであって、夢を実現できなかったからダメとか、希望する会社に就職できたから一生働き続けなければいけないなどと考えなくても大丈夫。
将来の夢は、どんどん変わるもの。
その時点の考え方で進路を選んでいけばいいのです。
夢は妄想だと思って、夢にしばられたり、職業にこだわりすぎたりしないようにしてください。
今の高校生が社会にでる時代は、就業構造、産業構造が大きく変化していると思います。
AIに仕事が置き換わって、その職業がなくなっているかもしれません。
こだわりすぎず、自分の興味関心や大事にしたいこと、将来どうなっていたいかなど、『自分の軸』となるものを作っておくことが重要です。
先生や保護者と話をするときは、『こうしなさい』を聞くのではなく、『自分はこうしたい』とプレゼンテーションできるようにしておくこと。
まずは自分で軸を作って、自分のなかで考えを整理して、それをプレゼンテーションすると、先生や保護者は何らかの意見をくれると思います。
ただし、アドバイスをもらったら、その通りに従うのではなく、自分のなかでもう一度考えてみて、必要だと思ったら修正していくというプロセスが大事なのです」。(小林さん)
8)進学にかかる費用について調べて相談してみる
さらに、家から通うのか、ひとり暮らしをするのか、海外留学したいのか、大学のある場所によって、通学や学生生活にかかる費用も大きく異なります。
出願しようとした段階で、保護者から『お金が出せない』と言われてしまい、志望校を変更しなくてはいけない、ということにならないよう、進学費用は早めに保護者と相談しておくと安心です。
実は、高校生のほうが、保護者に負担をかけたくないと進学費用の心配をしている傾向も。
保護者に話をしてみたら意外とお金を出してもらえた、というケースもあるので、具体的に話し合っておきましょう。
奨学金にはいろいろな制度が増えていて、返済の必要がない給付型もあるので、利用できる奨学金制度がないか、先生に相談したり、自分でも調べておいたりするといいですね」。(小林さん)
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大学選びの際に確認するべき8つのチェックポイント
大学選びの基本的な考え方がわかって、ある程度『自分の軸』について考えたら、次は具体的な大学の選び方。
大学や学部・学科、サポート体制、大学入試、学生生活など、調べておくべき8つのポイントを小林さんに教えてもらった。
下にまとめておいたので、後から見返せるようにスクショしておいてもOK!

1)学びたいことが学べる学部はあるか?
当たり前のことのようですが、例えば、『国際教養学部』など同じような名称の学部でも、大学によって学べる内容は異なります。
国際関連の学部といっても、海外留学が必須になっている学部もあれば、逆に海外留学はカリキュラムにない学部もあります。
医学部だと、チーム医療を重視しているなど、特化した特徴がある大学も。
時代の変化や社会のニーズに合わせて、大学が学びの内容を変えていて、先生や保護者が知っている大学とは学びの内容が異なっていることもあるので注意しましょう。
自分の学びたい学問があるのかどうか、今現在の情報収集をすることが大切です。
まずは、あまりしぼり込まずに、自分が興味をもった軸で、広い範囲で検索をしてみるといいでしょう」。(小林さん)
2)取りたい資格が目指せるか?
資格によっては、特定の学部・学科を卒業すれば取得できる資格、特定の学部・学科を卒業すれば資格試験の受験資格が得られる資格があります。
逆に、その学部・学科を卒業しないと、他に資格を取得する道がない場合も。
同じ学部名なのに大学によって目指せる資格が異なったり、まったく違った学部名なのに同じ資格を目指せたりすることもあるので要注意。
大学のパンフレットを取り寄せたり、ホームページを見たりして、取りたい資格が目指せるか、必ず調べておきましょう」。(小林さん)

3)就職サポート体制や先輩の就職実績があるか?
自分が志望している企業に、先輩が就職できた実績があるかどうか、調べておきましょう。
さらに、例えば1年次に大学の勉強についていけなかったときに補習や学びのサポートがあるかどうか、というのも大事なチェックポイントです。
クラス担任制で教授や講師が学習のサポートをしている大学もあれば、できないところを集中的に学ぶブートキャンプを行っている大学もあります。
学びや就職のサポート体制はさまざまなので、大学のパンフレットを取り寄せたり、ホームページなどを見たりして調べておくと安心ですね」。(小林さん)

4)自分の思い描いている学生生活ができそうか?
日本中からいろいろな学生が集まってきて、さまざまな分野の学部がそろっている大規模の総合大学で、視野や人脈を広げていきたいのか。
自分のやりたいことを突きつめていく同じ夢や目標をもった仲間がいる小規模の単科大学で専門的に集中して学んでいきたいのか。
部活動やサークル活動が盛んな大学で、キャンパスライフを充実させたい人もいると思います。
自分の思い描いている学生生活ができそうなのか、まずは大学生になった自分をイメージしてみることが大事。
必ず事前に大学のパンフレットやホームページで情報収集してから、オープンキャンパスへ行って、自分の目で確かめ、大学の在校生の先輩に話を聞いてみましょう」。(小林さん)

5)どんな入試形式があるか?自分に合うか?
大学入試には、一般選抜のほかに、総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)があり、私立大学では50%以上もの入学者が総合型選抜か学校推薦型選抜を利用しているのです。
さらに、国立大学でも、特に総合型選抜が拡大。
とある国立大学では、一般選抜で入学した学生よりも、旧AO入試で入学した学生のほうが大学院への進学率が高いというデータもあり、国立大学協会では、一般選抜以外での入学者3割を目指すと言っています。
つまり、自分の興味関心を大学入試に生かして、小論文やエッセイを書いたり、プレゼンテーションをしたりする、単なる偏差値だけではない探究型入試も増えつつあるのです。
しかも大学入試の形式は毎年変わるので、自分が希望する大学にはどんな入試形式があるのか、調べておくのが重要ポイント。
模擬試験の偏差値が合格圏内なら一般選抜にのぞめばいいし、自分の得意分野や学びたいテーマがあり、高校時代の探究活動などアピールできる材料があって、それが大学側の求めている人物像とマッチすれば、総合型選抜にチャレンジしてもいいと思います。
総合型選抜と大学入学共通テストを組み合わせて、ある程度の学力があれば、あとは面接やプレゼンテーションで判定する、という大学も。
大学入試とは、大学に入学する準備ができているか、大学の勉強についてこられるかを判定する試験。
大学に入学することをゴールにしてしまって、勉強は得意だけど『大学に入って何をしたいの?』と聞かれて答えられない人より、自分が大学で研究したいことを明確に考えていて、伸びしろがある人を入学させたいという大学も増えてきています」。(小林さん)

6)オープンキャンパスで見聞きした内容はどうか?
事前に自分がチェックしたいポイント、疑問に思った点を書き出して、大学の先生や在校生の先輩に質問してみるといいですね。
キャンパスの雰囲気や在校生の印象が自分に合いそうか、その大学になじめそうか、感じたことをメモして、他の大学と比べてみてください。
オープンキャンパスで、案内してくれた在校生の先輩たちの姿を見ると、自分の学生生活もイメージできると思いますよ」。(小林さん)

7)希望の学生生活と大学の立地が合っているか?
自宅から通うつもりなら、家から大学まで、どういう交通手段で通うのか、往復でどれくらいの時間がかかるのか、想定する通学方法で大学まで行ってみるといいですね。
ひとり暮らし、または学生寮生活をするなら、どこに住むのか、周りの環境で心配なところはないか。
大学の立地の環境も、都市部がいいのか、郊外のキャンパスでゆったりと学生生活を送りたいのか、実際に自分の目で見て、雰囲気を味わって、考えてみてください」。(小林さん)

8)大学4年間で合計どれくらいのお金がかかるか?
・志望校の入学金や授業料その他の費用
・通学のための定期券代など交通費
・ひとり暮らしや寮生活をする予定なら入居費用、家賃、生活費など
4年間で合計いくらのお金がかかりそうか、計算してみましょう。
さらに、奨学金などを利用したいと考えているなら、大学で申し込むことができる奨学金制度があるか、確認しておくといいですね」。(小林さん)
これだけはNG!大学選びでしてはダメな5つのこと
大学の学部・学科を選ぶとき、最終的に決定するのは自分。 大学選びをするときに、この5つのNGだけはやらないように気をつけたい。
1)先生や保護者の意見だけで決める
そうでないと、うまくいかなかったときに、人のせいにして後悔するかもしれませんよ」。(小林さん)
2)友達が受験するから自分も一緒に受ける
友達と同じ興味関心があり、同じ夢をもっているならOKですが、そうでない場合は一緒に受験する必要はありません」。(小林さん)
3)偏差値だけで行けそうなところを探す
さらに、早く進学先を決めたい気持ちはわかりますが、指定校推薦がきている大学の中から偏差値の高い順に選ぶこともやめてください。
『入学できそうだから』という理由だけで、特に興味関心のない学部・学科を選んでしまうと、授業がつまらない、教授の話についていけない、と挫折するかもしれませんよ」。(小林さん)
4)インターネットやSNSの口コミを信じ込む
ごくわずかな人の偏った意見や、わざと間違った情報が流されている可能性もあります。
大学の公式サイトなら大丈夫ですが、そうでない非公式の情報やSNSの口コミは、あくまで参考程度にしましょう」。(小林さん)
5)世間の評判やイメージだけで判断する
先生や保護者が大学生だった頃とは全然違う大学に変わっていることもあります。
必ず自分の目で見て、大学の先生や在校生の話を聞いて、自分の感覚を信じて選びましょう」。(小林さん)
先輩たちは何を重視して大学選びをした?
大学の選び方はわかったかな?
自分の軸を大事にして、大学の情報収集をすると、大学選びのヒントが見えてくるはず。
ここからは、実際の先輩たちが、どのようにして大学の情報を収集していったのか、大学を選ぶ際に何を重視して選んだのかを見てみよう。
同時に、小林さんからは各情報収集時のアドバイスもいただいた。
パンフレットは取り寄せた?どこを重視した?

大学生の先輩208人にアンケート調査をしたところ、「自分が希望する大学のパンフレットを取り寄せた」と回答した人は71.2%。

その約半数の人が「どんなことが学べるのか、カリキュラム」を重点的に見たと答えている。
どんなことが学べるのか、カリキュラムなどが自分のやりたいことなのか、チェックしてみてください。
例えば、英語にかかわる学部・学科の場合、『英語を学ぶ』のか、『英語で学ぶ』のか、カリキュラムによって大きく異なります。
『英語を学ぶ』カリキュラムなら語学力が身につきますし、『英語で学ぶ』カリキュラムでは語学をツールとして国際教養や専門知識を身につけることができます。
『留学ができる』といっても、必修なのか選択制なのか、留学先の大学の単位を取れるのか、夏休みに1週間程度語学研修をするだけか、さまざまなカリキュラムがあるのです。
学部・学科名だけではわからないこともあるので、自分が学びたいことに関係ありそうな大学のパンフレットを幅広く比較検討してみるといいでしょう。
ただし、やりたいことが明確に決まっていない人は、カリキュラムを細かく読み込むことが難しいと思います。
大学のパンフレットには、カリキュラムの前に『学びの特色』がまとめられていることが多いので、参考にしてみるといいですね。
どんなシステムで学ぶのか、どんな制度があるのか、その大学の特色が自分に合うのか、考えてみましょう。
『私は人見知りをするから、少人数ゼミで、先生との距離も近いほうがいい』『私はいろいろな人にかかわりたいから、学生数の多い大学で、多様な学生とコミュニケーションをしたい』など、自分の方向性が見えてくると思います。
それと、意外にスルーしがちなのが、大学のパンフレットの最初に書かれていることが多い『学長のことば』。
実は、『学長のことば』には、『うちの大学では、こういう人を育てます』『こんなことを大切にしています』など、大学の特色が書かれていて、学部・学科選びのヒントになるのです。
学長のことばから、その大学のコンセプトや学びの特色をつかんでいくといいと思います」。(小林さん)
大学のパンフレットでは、カリキュラムはもちろん、「学びの特色」をチェックして、自分に合っているか考えよう。
「学長のことば」には、その大学のコンセプトや学びの特色がわかるヒントがあるかも?
・「どんな学部があり、どのようなことを学べるのか、どのような授業があるのかということを重点的に見た」(大学/人文科学・社会科学)
・「在学中の先輩やOBのインタビュー。就職してからどんなことが役に立ったか、個人個人がどんなことを学んでいるのか気になった」(大学/芸術・教養)
・「進路決定時点ではまだはっきり進路を見すえられていなかったため、学部内で受講できる講義の幅広さを見た」(大学/芸術・教養)
・「学校の雰囲気。体育に対してどれだけ熱心な学校か見たかった」(大学/家政・教育)
・「各学部の説明をよく見た。実際にその学部に入ったときに、どのようなことを学ぶのか、それは自分の興味のある分野なのかを考え、実際に4年間学ぶことができそうかどうかをシミュレーションした」(大学/人文科学・社会科学)
・「言語だけではなく文化についても学びたかったため、どれだけ深く、また多くのことを学ぶカリキュラムがそろっているかを確認した」(大学/その他)
・「自分の希望している免許・資格を取得できるか。また就職率の高さを重視した。大学進学がゴールではなく、その先のことを見越して大学を選びたいと思ったため」(大学/家政・教育)
・「自分の興味のある分野が専門の教授がいるかどうか、いるのであればどれくらいの人数がいるかを中心に確認した」(大学/人文科学・社会科学)
・「取得できる資格やその資格を取るための流れ、学校全体の雰囲気を見た」(大学/家政・教育)
・「キャンパスライフが楽しそうか、ゼミでどんな活動をしているか」(大学/その他)

オープンキャンパスには行った?どこに注意した?

大学生の先輩のアンケート調査では、オープンキャンパスに参加した人は65.4%。

その約半数の人が「学校・先生・先輩の雰囲気」に注意して参加したと答えている。
それが自分に合うかどうかは、大学のパンフレットだけではわからないので、オープンキャンパスで、学生の雰囲気、先生と学生との距離感なども見ておきましょう。
ただし、何となくオープンキャンパスへ行って、キャンパスツアーに参加して、先輩の話を聞いて、『楽しかった』だけでは、大学に入学してから困ることになるかもしれません。
オープンキャンパスへ行く前に、まず大学のパンフレットやホームページを見て、何を見るか、何を質問するか、整理しておくといいですね。
事前にチェック項目を書き出して、疑問点が解決できたかどうか、確認しながら参加しましょう。
もし、解決できていなかったら、大学の先生や先輩に質問してみてください。
大学のオープンキャンパスには相談コーナーがありますし、WEBオープンキャンパスでもチャットなどで質問ができると思います。
例えば、資格取得率90%と大学のパンフレットに書かれているけど、学生の何%が受験しているのか?
就職率が高いけれど、どんなバックアップをしてくれるのか?
しっかりと事前準備をして、大学のパンフレットやホームページでわからないことを積極的に質問しましょう。
個別相談コーナーは、マンツーマンで疑問点を質問できるので、ぜひ活用してみてください。
先輩の話が聞けるコーナーや、学生が案内するキャンパスツアーもおすすめです。
『先生はこんなこと言ってたけど、実際はどうですか?』とリアルな声を聞いてみると参考になるかもしれません。
実技や実習がある学部・学科では、施設や設備をしっかり見学しておきましょう。
行きたい大学を決めることも大事ですが、『自分は行きたくない大学』を削ることも、オープンキャンパスの課題になります。
良い悪いではなく、自分に合うか合わないか。
一緒に行った友達が気に入っていても、自分は違うと感じるかもしれないし、友達に誘われて行った大学で『私に合うかも』と思うこともあるでしょう。
学費の問題や下宿する必要があるなど、お金の相談が必要だと思ったら、保護者を連れて行くと、その後の話がスムーズに進むと思います」。(小林さん)
大学のオープンキャンパスに参加するときは、何を見るのか、何を知りたいか、下調べが重要!
個別相談コーナーは直接質問できるので、参加申し込み時に予約しておこう。

・「先輩方の接し方。まじめでやさしい人が多いところに行きたかった」(大学/家政・教育)
・「学部の実験室などについて、在校生から説明を聞いた」(大学/その他)
・「校風が自分に合っているか、施設の使いやすさなどを確認した」(大学/人文科学・社会科学)
・「キャンパスにいる学生を見て、どんな雰囲気の人が多いか確認した」(大学/その他)
・「自分が希望している学科の模擬授業に参加して、授業内容やわかりやすさを確認した」(大学/その他)
・「どのような講義や実技があるのかを確認した」(大学/医療・保健)
・「免許や資格の取得可否や、実験・実習環境・設備について確認した。また卒業生の就職状況や大学院での研究・指導環境も確認した」(大学/その他)
・「キャンパス内を歩いてみたり、模擬授業を受けたりして、雰囲気を知るようにした。入学を考えている学部の先生や先輩と話をして、入学後をイメージできるようにした」(大学/家政・教育)
・「いろいろな施設を見て、自分がそこで過ごすことをイメージした」(大学/家政・教育)
インターネットやSNSは活用した?何を注意した?

大学生の先輩のアンケート調査では、半数以上の人がインターネットやSNSを利用して大学の情報を集めている。

「カリキュラム」「学校・先生・先輩の雰囲気」「口コミ」などの情報を集めている人が多いようだ。
参考にはなるかもしれませんが、たまたま進学先が自分に合わなかった人が悪いうわさを拡散していることもありますし、在校生でさえない可能性もあります。
そのため、しっかり事実確認をして、惑わされないようにしてください。
大学のホームページや公式Twitterなど、正しく発信されている情報で確認することが大事です。
ただし、いきなり大学のホームページを見ようとしても、知っている大学名しか検索できませんよね。
『スタディサプリ進路』などの進学情報サイトでは、フォーマット化されていて、一覧で比較検討できるので、ぜひ活用してみてください。
学べる分野や気になる職業から検索していけば、自分が知らなかったいろいろな大学名や学部・学科名が出てきます。
同じフォーマットで、就職率、資格取得率などのデータが掲載されているので、比べやすいと思います。
まずは、進学情報サイトで検索して、比較検討して、大学をしぼり込んだら、その大学のホームページや公式Twitterなどで情報収集するといいでしょう。」(小林さん)
インターネットやSNSの口コミやうわさは参考程度に。
大学のホームページや公式Twitterなどの正しい情報で確認しよう。

・「悪いところもしっかり確認した」(短期大学/理学・工学)
・「口コミサイトで、大学の雰囲気やサークル活動の充実さを確認した」(大学/芸術・教養)
・「自分の学びたいことが学べるか 雰囲気が自分に合っていそうかどうか。立地や周辺の施設(スーパーやコンビニ、商業施設があるか)」(大学/医療・保健)
・「実際にその学校に通っている先輩のSNSを見て、どんな生活を送っているのか調べた」(専門学校/文化・教養)
・「その学校が取り組んでいる活動や、力を入れていることがらに注目した」(専門学校/工業・農業)
・「在校生の様子が、パンフレットやホームページに載っていることと違わないか」(専門学校/工業・農業)
・「学科によって授業内容や取得できる資格が違うので、自分に合った学科をチェックした」(専門学校/商業・実務)
・「行きたい大学の動画などで、授業の雰囲気や授業以外の様子を見て、やっていけそうかを考えた」(大学/医療・保健)
・「似たような系統の学問を学べる大学と、この短期大学では、学び方にどんな違いがあるのか、特に注目した」(短期大学/人文科学・社会科学)
・「在校生の生の声を聞きたかったので、SNSでエゴサーチなどをして調べた」(大学/人文科学・社会科学)
・「大学内での活動や、日々の学生生活をどう送ると将来につながりそうかを確認した」(大学/人文科学・社会科学)
こんなはずじゃなかった!を防ぐ大学選びの注意点
ここからは、大学に入学してみたら、学部・学科選びを間違えたかも、と思ってしまった先輩たちの意見をもとに、どうすれば「思っていた学部・学科と違った!」という失敗が防げるのか、教えてもらった。
事前に調べて自分の目で確認してから選ぼう
大学生の先輩のアンケート調査では、「実際に通ってみて、イメージどおりだった」と回答した人は74.0%だが、その一方で4人に1人は「イメージと違った」と感じている。
学ぶ内容について、見ているようで、実はよく見ていない人も少なくないのでしょう。
事前に大学のパンフレットやホームページできちんと調べて、オープンキャンパスで自分の目で見て、疑問点を質問すれば、大抵のことは解決すると思います。
大学のパンフレットやホームページで、学びの特色やカリキュラムを読み込むことが大事。
今、大学は、どんどん改革を進めていて、時代に合わせた良い方向に変わりつつあります。
もしかして、自分が入学する年度からカリキュラムが大きく変わるかもしれません。
それが自分に合うのかどうか、しっかり見極めてください」。(小林さん)
「実際に通ってみて、どこがどのようにイメージと違いましたか?」
・「高校の時はできていたことが、大学では専門的になりすぎて、わけがわからなくなってしまった」(大学/医療・保健)
・「実習などが思いのほか大変だった」(大学/家政・教育)
・「グローバルな環境だと思っていたが、あまりにもアメリカナイズされた校風でがっかりした」(大学/人文科学・社会科学)
・「第二外国語を学べると思ったが、必須科目ではなかった」(大学/その他)
・「先生との距離が遠い」(大学/家政・教育)
・「生物系の学部だと思って入学したが、実際には化学主体のカリキュラムだった」(大学/その他)
・「模擬授業で教えてくれた先生以外の授業は厳しく、思っていたよりも過酷な学生生活だった」(大学/その他)
・「自分が思っていた以上に数学的知識が必要になることを実感した」(大学/理工・工学)
・「学生の雰囲気が思っていたのと違って、変わった子が多かった」(大学/その他)
まとめ:自分の中に軸をつくって、大学&学部・学科をみつけよう
自分の将来の姿をイメージして、しっかりと情報収集して、自分がやりたいことを学べて、自分に合った大学&学部・学科を選んでいくことが大事なのだ。
友達と『どこの大学を受ける?』『模試の結果どうだった?』という話はしても、その先の将来の夢や目標までは意外と語り合っていない人が多いと思います。
高校1年生、2年生のうちから、何となくでもいいから、将来の話をしてみましょう。
大学に入学することがゴールではありません。
その先を見すえたときに、大学時代をどう過ごしていくかを考えたときに、高校時代の過ごし方、進路の考え方が変わってきます。
その準備を高校1年生から考えている子と、とりあえず勉強しなさいと言われて机に向かって勉強だけしている子では、大学の学部・学科がスムーズに選べるかどうか大きく違ってくると思いますよ」。(小林さん)

識者/小林 浩 文/やまだ みちこ(2023年7月に一部追記) 構成/黒川 安弥
※※※
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