大学と専門学校の違いを徹底解説!先輩たちにメリット・デメリットを聞いた
大学は、学術的・理論的な学問を学ぶとともに、幅広い教養を身につけるための教育を行う教育機関。一方、専門学校は、特定職種の実務に必要な知識や技能を身につけられる、実践的な教育機関だ。
卒業後の進路として、大学がいいのか専門学校がいいのかと迷う…という高校生もいるだろう。
そこで今回は、大学と専門学校の違いを、教育内容、学費、入試方法、卒業後の進路など、さまざまな観点から紹介。
さらに、実際に通学している先輩たちにメリット、デメリットを聞いてみた。
自分の目的や希望と照らし合わせてじっくり検討しよう。
目次
大学と専門学校の違いとは?
前述の通り、大学と専門学校の主な違いは、大学が学術的・理論的な学問を学ぶ教育機関であるのに対し、専門学校は特定職種の実務に必要な知識や技能を身に付ける教育機関であることだ。しかし、そのような教育内容についての違い以外にも、様々な違いがある。
例えば、標準修業年限は大学が4年、専門学校が2年、卒業に必要な単位は、大学が124単位、専門学校は年間800時間と大きな差がある。
学費は、国立大学が81万7800円(平均)、私立大学が134万723円(平均)、専門学校が125万5000円(平均)となっている。
卒業後に得られる学位・称号は、大学が学士、専門学校が専門士となり、卒業後の進路も、大学では就職のほか大学院進学という選択肢もあるのに対し、専門学校では特定職種への就職が一般的だ。
さらに、入試方法、入試の難易度、入試日程についても違いがある。
それぞれの校種の特徴を表にまとめたので、よく確認しておこう。
大学 | 専門学校 | |
教育内容 | 専攻分野に関する学術的な理論や知識を体系的に学ぶ。一般教養についても幅広く学ぶ | 特定の職業に直結する実践的な技術や知識を学ぶ。演習や実習が充実している |
標準修業年限 | 4年。医学部・歯学部などは6年 | 2年が一般的だが、3年、4年の課程もある |
学費(初年度納付金) | 国立:81万7800円(標準額) 私立:134万723円(平均) |
125万5000円(平均) |
卒業に必要な単位(授業時間) | 124単位 | 年間800時間以上 ※一部単位制の学校もある |
授業時間 | 90分授業が多い | 学校や授業によって異なるが、50分、90分の授業が多い |
履修科目・時間割 | 選択科目が多く、時間割も含めて自分で自由に決められる余地が大きい | 大学と比べると選択科目は少なく、時間割も決められている |
部活・サークル | 大学の規模によっても異なるが、専門学校と比べると充実していることが多い | 学校の規模によっても異なるが、大学と比べると種類は少ない |
入試方法 | 一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜 | 一般入試(一般選抜)、AO入試(総合型選抜)、推薦入試(学校推薦型選抜) |
入試の難易度 | 大学により難易度の差が大きい | 学校や分野による違いはあるが、一般的に大学と比べると入りやすいことが多い |
入試日程 | 共通テストは1月。大学の個別の入試(一般選抜)は2、3月がピーク。総合型選抜は9月~、学校推薦型選抜は11月~ | 一般選抜は、9、10月頃から翌年3月にかけて、複数回実施されることが多い。総合型選抜は秋以降随時している学校も |
卒業後の進路 | 就職のほか、大学院進学という選択肢もある | 就職のほか、大学への編入学という選択肢もある |
卒業で得られる学位・称号 | 学士 | 専門士(4年制以上の場合は高度専門士) |
初任給の平均 | 21万円 ※2020年、東京都の場合 |
19万5000円 ※2020年、東京都の場合 |
高校卒業後の進学割合 | 54.4% | 24.0% |
【出典】文部科学省 学生納付金等調査、(公社)東京都専修学校各種学校協会 学生・生徒納付金調査、東京労働局 学卒者の初任賃金調査、厚生労働省 賃金構造基本統計調査、文部科学省 学校基本調査、独立行政法人大学入試センターHP、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会HP
教育内容

※大学と専門学校では、学びのスタイルにどのような違いがあるのだろうか
大学経済学、法学、文学、理学、工学などの特定分野について、学問として体系的に学ぶことができる。
専門分野以外の一般教養科目が履修できるのも特徴だ。
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大学の学部・学科一覧!後悔しない大学選びに役立つ!学部学科選びのヒントも
専門学校
実習を中心とした実践的な学びを通して、建築、デザイン、美容、医療技術など、職業に直結する知識や技術を習得できる。
資格取得を目的とした課程やコースも多数。
大学のように専門分野以外の一般教養科目を学ぶ機会は少ない。
標準修業年限
大学多くの大学は4年で卒業するカリキュラムとなっている。
ただし、例外もあり、医学部・歯学部は6年。
また、薬学部・獣医学部は6年制の課程と4年制の課程とがあり、国家資格取得を目的とした学科は6年となっている。
専門学校
2年を標準年限としている課程が多いが、より高度な専門性が身につけられるよう3年制、4年制の課程を設けている専門学校もある。
学費(初年度納付金)

※学校や分野による差も大きいので必ず詳細を確認しよう
大学国立大学の学費は大学や学部にかかわらず標準額が定められている。
入学金28万2000円、授業料53万5800円を合計した初年度納付金の標準額は81万7800円。
大学によって標準額のとおりではない場合もあるが、大きな差はない。
公立大学もおおむね国立大学の標準額に準じた学費となっている。
私立大学の学費は、文部科学省「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、2019年度の初年度納付金の平均は134万723円。
内訳は、授業料が91万1716円、入学料が24万8813円、施設設備費が18万0194円となっている。
なお、同じ大学でも学部によって学費には大きな違いがあることも多いので注意。
医学部など理系学部は学費が高めだ。
★参考記事
大学の学費はいくら?受験料、入学料、授業料を学びたい分野別にチェック!大学無償化も解説!
専門学校
(公社)東京都専修学校各種学校協会「令和2年度 学生・生徒納付金調査」によると、2020年度の専門学校(東京都)の初年度納付金の平均は125万5000円。
内訳は、授業料が69万3000円、入学金が17万9000円など(その他実習費や設備費などがかかる)。
学校や分野による違いも大きいので注意しよう。
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卒業に必要な単位(授業時間)、1コマの授業時間
大学大学を卒業するためには4年間で124単位以上修得することが必要。
124単位をクリアして、さらに多くの科目を履修することもできる。
ゼミなどで例外はあるが、1科目2単位が一般的だ。
なお、授業時間は90分が一般的。
専門学校
年間の総授業時間は800時間以上と定められている(大学とは異なり、一部の学校を除くと単位制が導入されていないことが多い)。
2年制の課程の場合は、卒業までに1600時間の授業を受ける必要がある。
なお、授業時間は学校や授業の種類によって異なるが、50分や90分に設定されていることが多い。
履修科目・時間割

※大学と専門学校の違いは時間割にも表れている
大学選択科目が多く、必修科目も週に複数開講されていることが多いので、自分の希望に合わせて比較的自由に時間割を組むことができる。
特定の曜日に授業を集中させて空き日を作ってアルバイトや課外活動に充てる、早起きが苦手なので1限は避けるといったことも可能だ。
専門学校
選択科目もあるが、基本的には高校と同じように時間割は決められている。
自由に設定できる余地は少なく、授業も毎日詰まっているので、アルバイトや課外活動、部活・サークル活動などの時間を捻出するのは、大学と比べると大変だ。
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部活・サークル
大学大学の規模によって違いはあるが、学生数が多く、グラウンドや体育館などの施設が充実している大規模な大学は部活やサークルも充実している。
専門学校と比べると授業の時間割に余裕があり、自分で決められるので、部活やサークル活動に充てる時間も捻出しやすい。
専門学校
大規模な専門学校など、一部には部活・サークルが充実している学校もあるが、一般論として、大学と比べると盛んとは言えない。
入試方法
大学大きく分けると、一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜がある。
一般選抜は、学力試験をメインにした入試方式。
国公立大学の場合は、大学入学共通テストが1次試験で、その後、各大学が実施する2次試験を受験する。
私立大学の場合は、大学が個別に入試を実施するが、共通テストを利用する大学もある。
また、ひとくちに一般選抜といっても、私立大学の中には入試科目数などが異なる複数の入試方式を実施している大学も多いので、事前によく調べる必要がある。
総合型選抜は志望理由書や面接をメインとした選抜方式。
総合型選抜の募集枠は国公立、私立ともに増加傾向にあり、選抜方法も多様化している。
面接だけでなく学力試験などが課されるケースもある。
学校推薦型選抜は、指定校推薦など。高校の推薦書が必要な推薦入試のことで、高校での成績が大きく影響する。
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大学入試の基礎知識!入試の種類、スケジュール、費用や受験傾向は?
専門学校
選抜方式の種類は、大学と同様、一般入試(一般選抜)、AO入試(総合型選抜)、推薦入試(学校推薦型選抜)。
専門学校の一般入試(一般選抜)は、書類選考、学科試験、面接を組み合わせて実施する学校が多い。
一般入試(一般選抜)でも志望理由書や面接が重視されるのが特徴。
学科試験は、一般常識などを問う内容のものもあれば、専門知識を図る内容も。
また、実技試験が課される学校もあるので、学校ごとの傾向を事前に調べておくことが大切だ。
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専門学校の入試方式、出願方法、難易度を押さえて不安解消!
入試の難易度

※入試の難易度、日程などは学校ごとの差も大きい
大学大学によって大きく異なる。
一般的に、国立大学や偏差値上位の私立大学は入試難易度が高い。
専門学校
大学と比べると、学力試験の比重が高くないことなどもあって、入りやすい傾向がある。
ただし、医療系など分野によっては学力が厳格に問われることもあり、注意が必要。
入試日程
大学最も早く入試スケジュールが始まるのは総合型選抜。
早ければ6月からエントリーがスタートし、9月に出願がスタート。
出願受付期間は大学により異なり、12月ごろまで出願できる大学もある。
続いて、学校推薦型選抜の出願が11月にスタートする。
一般選抜は、私立大学は早いところは12月ごろからスタート。
大学入学共通テストは1月に実施される。
国立大学の一般選抜2次試験は2、3月。
専門学校
専門学校の場合も、入試スケジュールはAO入試(総合型選抜)から始まる。
エントリー開始は早いところで6月ごろから。
出願時期は、AO入試(総合型選抜)は9月ごろから、推薦入試(学校推薦型選抜)は10月ごろから、一般入試(一般選抜)は11月ごろからというのが一般的だ。
AO入試(総合型選抜)は3月まで出願受付している学校も多く、一般入試(一般選抜)も3月まで複数回実施しているところも。
ただし、入学定員に達すると募集がストップされることもあるので注意が必要だ。
卒業後の進路
大学就職のほか、大学院(修士課程)への進学も有力な進路の一つ。
なかでも、理学、工学などの理系学部は大学院進学率が高い傾向がある。
就職先は幅広いのが特色。
分野によって一定の傾向はあるものの、文系学部からエンジニアとして就職するなど、学部の系統にとらわれない就職をする学生も多い。
なお、医学部や教育学部など資格取得を目的とした一部の学部は、専門学校と同じように学部と就職先の関連性が強い。
専門学校
就職のほか、大学に編入学する道もある。
専門学校の2年制課程を卒業すれば、大学にもよるが、3年次への編入学が可能になる。
就職先は、専攻する分野に直結しているのが一般的。
業界に強いパイプをもっている学校は、就職にも強い。
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専門学校の就職事情を調査!大学との比較、就職率、メリット・デメリットを解説
卒業で得られる学位・称号

※大学では「学士」の学位が、専門学校では「専門士」の称号が取得可能
大学大学を卒業すると「学士」の学位が得られる。
学士は大学院進学には必須であり、就職の際に条件とされることも多い。
専門学校
専門学校の2年制、3年制の課程を卒業すると「専門士」の称号が得られる。
4年制課程の場合は、さらに上の「高度専門士」の称号が得られる。
初任給の平均
大学東京都の場合、大卒者の平均初任給は21万円(2020年3月卒、東京労働局調べ)。
全国が対象の厚生労働省の調査でも、21万200円(2019年3月卒、「令和元年賃金構造基本統計調査」とほぼ同じ結果となっている。
専門学校
東京都の場合、専門学校を含む専修学校卒者の初任給は19万5000円(2020年3月卒、東京労働局調べ)。
短大卒と同等だが、大卒よりは1万5000円安い。
高校卒業者の進学割合
大学大学進学率は上昇傾向が続いており、2020年3月卒業者の大学進学率は54.4%に達している(文部科学省「学校基本調査」)。
専門学校
専門学校への進学率は大きな増減はなく、横這い傾向が続いている。
2020年3月卒業者の専門学校進学率は24.0%(文部科学省「学校基本調査」)。
大学のメリット、デメリットとは?

専門学校と比較した場合、大学ならではのメリット、デメリットとは何なのだろう?
実際に大学に進学した先輩たちに話を聞いてみると、上の表のような結果となった。
ひとつずつ詳しく見てみよう。
先輩に聞いた!大学のメリット
4年間でやりたいことを見極めながら学べる!専門学校と比べると修業年限が4年と長いことが大学の大きな特徴。
その分、自分が学びたいことや将来の職業についてじっくり考えながら学ぶことができるし、目標が変わったら方向転換も可能。
その点をメリットとして挙げる先輩が多かった。
「4年間という猶予があり、将来についてじっくり考えることができたので自分には合っていた」
(医療・保健系/福井県/女性)
「2年生から細かい専攻に分かれる学部が多いので、自分のしたいことを再確認してから専攻を選択できる」
(人文科学・社会科学系/兵庫県/女性)
「コースについて大学在学中に決めることができるので、高校卒業時にはない視点で選択することができる」
(人文科学・社会科学系/愛媛県/女性)
一般教養科目も充実していて、学べる科目が多様で幅広いことも大学ならではの強み。
総合大学なら他学部の科目を履修することができる場合もあり、「学びたい」という気持ちがあれば、自由にさまざまな科目が学べる点は大きなメリットだ。
「専門領域以外にも一般教養など幅広く学ぶこともできてよかった」
(人文科学・社会科学系/東京都/男性)
「総合大学で他学部の科目も履修できるため、学際的な学びも積極的に行うことができる。国際交流もさかんで、学部2年次にヨーロッパの大学へ数週間行くことができた」
(人文科学・社会科学系/京都府/男性)
「尖った中身の授業がたくさんあって楽しかった」
(芸術・教養系/千葉県/女性)
「経済をさまざまな観点から学ぶことで経済の全体像がわかった」
(人文科学・社会科学系/東京都/男性)
「小さい頃から興味があった分野について好きなだけ研究できた。結果的に現在の職業にもつながった」
(理学・工学系/新潟県/男性)

制度や施設が充実している!
専門学校と比べると、総合大学は制度や設備も充実している傾向がある。
その点をメリットと感じている先輩も多い。
「図書館が充実していて、テスト勉強や、資料集めなどさまざま利用していた。カフェテリアも、外部の人がわざわざ食べにくるくらい美味しい!」
(家政・教育系/静岡県/女性)
「交換留学先が世界各地にあり、学費を抑えて留学することができる。約1ヶ月間の海外研修制度などがある」
(その他/千葉県/男性)
学生数が多い総合大学は教員や友達、先輩などとの出会いの機会もそれだけ豊富。
大学時代のつながりは一生の付き合いとなることも多く、これも大きなメリットだ。
「大学自体が大きくいろいろな学部があるので、いろいろな人と会うことができる」
(芸術・教養系/愛知県/男性)
「違う分野を学んでいる人との交流で刺激を受けたり、部活動を通して様々な人と友人になることができ、自分の視野が広がった」
(その他/山口県/女性)
「インカレサークルが盛んで他の大学との交流が多い」
(人文科学・社会科学系/東京都/女性)
4年かけて学ぶので、比較的自由な時間が多く取れるのも大学の魅力。
だから、サークル活動やアルバイトなども満喫できる(ただし、学部によっては忙しい場合あり)。
「自分の自由な時間が増え、アルバイトやサークル活動などさまざまな活動をすることができた」
(芸術・教養系/岩手県/女性)
「部活動などを通して様々な人と友人になることができ、4年間という長い猶予をもらえたからこそ余裕を持ってたくさんのことを経験することができた」
(家政・教育系/山口県/女性)
また、就職後の給与面でも大卒のメリットはある。
「就職活動を通して、大卒の方が給料がいいことがわかり、大学を出てよかったと思った」
(その他/埼玉県/女性)
先輩に聞いた!大学のデメリット
自由度が高い分、自主性がないと大変なことに!
大学は、比較的科目選択や学生生活に関する自由度が高く、学生数が多いと教員の目があまり行き届かないことも。
そのためこんなデメリットがあるようだ。
「4年間でじっくりゆっくりやっていく分、だらけてしまう」
(医療・保健系/静岡県/女性)
「ゼミ以外、クラス単位で学ぶ科目はあまりないので、自主的にしっかり行動していかないと卒業等が厳しいところ」
(人文科学・社会科学系/東京都/男性)
キャンパスの広さや規模の大きさは魅力でもある一方、こんなデメリットも。
「学生数がとても多く、なかなか先生に名前を覚えてもらえない。存在が埋もれてしまう」
(芸術・教養系/大阪府/女性)
「キャンパスが各地に離れているため移動が大変」
(医療・保健系/東京都/女性)
私立大学だと4年間の学費総額は専門学校の倍近く。
この点をデメリットと感じる先輩も。
「4年間の大学で私立なので学費が高い。社会人になってから奨学金で給料が減る」
(その他/兵庫県/女性)
「学費が高く、親に申し訳ない」
(芸術・教養系/東京都/男性)
専門学校のメリット、デメリットとは?

では、大学と比較した場合、専門学校ならではのメリット、デメリットはどこにあるのか?
実際に専門学校に進学した先輩たちの話をまとめると上の表のようになる。
どのような声が挙がっているのか具体的に見てみよう。
先輩に聞いた!専門学校のメリット
大学や短大では学べないことが学べる!
専門学校で学べるジャンルは幅広い。
大学にはない学科・専攻を設けている学校も多く、その点は専門学校ならではのメリットといえる。
「大学や短大にはない学科専攻があり、自分がやりたいことを学べる」
(文化・教養系/群馬県/男性)
「その学科に特化した専門的な知識を身につけられる」
(文化・教養系/千葉県/女性)
「専門的な知識や技術をずっと学べるし、その学科に特化したイベントもあり実践に近い体験ができる」
(文化・教養系/石川県/女性)
就職後の実務に直結する知識・技術が学べるよう、実習施設が充実していたり、現場のプロが教員を務めていたりすることも魅力。
その点をメリットとして挙げる先輩も多かった。
「ライブハウスの中をそのまま再現した実習室が学校にあったり、本物の有名ないろんなライブをしてるライブハウスで実習できたりすること」
(文化・教養系/神奈川県/女性)
「実習のための医療用ベッドや人形などがあり、校内実習が充実している」
(医療・保健系/千葉県/女性)
「専門的なことを短期間で学ぶことができるため、即戦力となるスキルを身につけることができます」
(文化・教養系/北海道/女性)
「実際に会社をやっている、現役で仕事をしてる先生ばかりなのでとても勉強になる」
(文化・教養系/神奈川県/女性)
専門学校には特定分野への就職を目指す学生が集まるので、同じ目標をもった仲間ができる。
お互いに切磋琢磨しあい、励ましあいながら学べる環境は大きな魅力だ。
「周りが同じ目標に向かっているため、助け合いや競い合いがある」
(医療・保健系/大分県/女性)
「同じ職業を目指す仲間なので、お互いに高め合うことができた」
(商業・実務系/東京都/女性)
「考え方が似た友人がたくさんできたので、学歴以外の大切なものを得ることができたと思う」
(商業・実務系/埼玉県/男性)

短期間で効率的に資格取得を目指せる!
資格取得を目標に据えたカリキュラム・支援制度を設けている専門学校も多い。
大学よりも効率的に資格を目指せることをメリットに感じている先輩の声も目立った。
「取得できる資格が多く、免除なども受けられて全体的なサポートがしっかりとしていた」
(工業・農業系/宮城県/男性)
「資格取得に対して一点集中型なので資格取得にはとても強いと思う」
(商業・実務系/東京都/男性)
また、専門分野の業界・職種の就職に強い専門学校も多く、その点をメリットとする声もあった。
「教員が全員専門職の経験者で、専門職への就職率が高い」
(商業・実務系/埼玉県/女性)
「専門だとその分野だけに特化した就職ができるので良い」
(工業・農業系/福島県/男性)
「看護専門のため、より集中した勉強ができて、現在の仕事に直結している。病院と隣接してるので就職に有利だった」
(医療・保険系/京都府/女性)
先輩に聞いた!専門学校のデメリット
在学中に軌道修正がしにくい
専門学校は学ぶ内容や将来の進路が特定の分野に特化されているので、途中で興味や目標が変わったときに軌道修正がしにくい。
その点をデメリットとする先輩も。
「専門分野を勉強していたが、途中で自分のやりたいことが増えてしまった」
(文化・教養系/神奈川県/女性)
「その分野に興味をなくしたり進む道を変えたくなったとき学校自体を変える必要がある」
(家政・教育系/静岡県/女性)
「就職先が限られてしまうため、少し悩んだ」
(家政・教育系/北海道/男性)
専門学校は、大学とは違って毎日授業が詰め込まれているので、自由な時間を取りにくい。
アルバイトなどをやりたい場合にはその点はデメリットになってしまう。
「実践課題が多いため、放課後にも居残りをして作業をしたり、家に持ち帰って作業をしないと間に合わないようなボリュームの時があり、アルバイト等の時間を作ることが大変です」
(文化・教養系/北海道/女性)
「大学と違いコマを自分で選ぶのではなく、1日中学校にいるので時間に縛られる」
(商業・実務系/山形県/男性)
部活やサークルがある専門学校もあるものの、大学と比べるとどうしても充実度は見劣ってしまう。
その点にデメリットを感じた先輩も。
「サークルや他学科とのつながりが少ない」
(医療・保健系/東京都/女性)
「サークルがないので、あまり青春を感じられない」
(医療・保健系/福岡県/女性)
タイプ&ケース別に解説!おすすめ進学先

※自分にあった進学先を見つけよう
大学がいいのか、専門学校がいいのかを迷っている高校生には、先輩たちの声が参考になったのではないだろうか。それでは、ここで、それぞれの校種がどんなタイプ、ケースに向いているのかを整理しておこう。
大学がおすすめなのはこんな人!
じっくり4年間学べるところが大学のいいところ。まだ将来やりたい仕事が決まっていないという人は、在学中に将来を考える余裕があり、選択肢も豊富な大学が向いている。
専門分野以外にも幅広いことを学んでみたい、学問を深く学びたいという人も大学向きだ。
また、医師免許や教員免許など、大学進学が唯一、あるいは有力なステップとなっている資格を目指す場合は、必然的に専門学校ではなく大学という選択になる。
サークル活動やアルバイトなど勉強以外のキャンパスライフを充実させたい人、海外留学をしてみたい人にも大学はピッタリ。
さまざまな学びや経験、仲間との出会いを通して、4年間で人間的にも大きく成長したいと考えているなら、大学への進学を検討してみよう。
専門学校がおすすめなのはこんな人!
将来目指している仕事や取得したい資格がすでに明確になっている人には、それに特化した教育を受けられる専門学校が向いている。また、アカデミックな知識よりも、就職後の現場で活かせる実践的な力を養いたいという人にも、実習が充実している専門学校は格好の学びの場。
2年で卒業できる専門学校が多いので、できるだけ早く就職したい人にもピッタリだ。
2年制の専門学校なら学費総額は大学と比べるとかなり安く押さえられるので、就職までにあまり学費をかけたくない人にも専門学校は有力な選択肢だ。
高校卒業後の期間を、目標に向かって、できるだけ効率的に、真っ直ぐ進みたいという人は専門学校への進学を検討してみよう。
大学と専門学校の違いはおわかりいただけただろうか。
それぞれにメリット、デメリットがあり、人によって向き、不向きもある。
どちらを選ぶかは、将来のキャリアにも大きく影響してくることなので、じっくり考えてみよう。
文/伊藤敬太郎 構成/寺崎彩乃(本誌) ※2024年4月一部追記