10年後のいい高校=海外大学への進学者数!?
高校生の進学先として海外大学がクローズアップされている。ここ数年、予備校の海外大学進学コースが少しずつ増加し、その注目度も上昇。また、高校でも、新潟県立国際情報高校が2013年度から海外大学進学コースを開設するなど、新しい動きが始まっている。
「当校はもともとグローバル教育に力を入れてきましたが、ここに来て在校生からも海外大学に進学したいという声が聞かれるようになっています。新コースの説明会では保護者からの反響も非常に大きいですね」(平田正樹校長)
その背景には、言うまでもなく企業活動のグローバル化がある。立教大学経営学部バイリンガル・ビジネスリーダー・プログラム主査の松本茂教授は次のように話す。
「昨年あたりから企業の新卒者採用の風向きが大きく変わりました。グローバル展開に対応できる人材を真剣に求めるようになっています。特に英語で専門的教育を受けている人材へのニーズは非常に高いですね」
そのため、英語で学べる国内大学の卒業生や、海外大学への留学経験者へのニーズも急上昇。しかし、寮生活なども含め多様性のある環境で4年間じっくり学び、過ごしてきた海外大学卒業生は、「異文化の中で揉まれた」経験値が違う。世界中に広がる同級生とのネットワークもあり、企業にとってはいっそう魅力がある存在なのだ。
今のところ、注目されているのは主にアメリカの大学だが、松本教授は、今後アジアの大学への進学も広がっていくと予測。
「アメリカの大学は州立でも学費が高い。海外大学進学がより一般的になれば、アメリカ、イギリス、オーストラリアだけでなく、学費が安く、同じように英語で学べる香港、シンガポール、マレーシアなどのアジアの大学への進学者も増えていくとみられています。国内企業のアジア進出が進んでいるので、現地で学んだ経験は就職の際にも大きなアピール材料になりますしね」
現状は、あくまで一部の意識の高い保護者、高校生が注目し始めた段階だが、この流れは急ピッチで進んでいきそうだ。
「10年後には、海外大学に何人進学したかが、高校の評価に直結する時代になるでしょう」と松本教授。今の高校生はその変化の先頭を切る立場にある。「われこそは!」というガッツのある高校生を支援する指導体制づくりが急がれている。